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リスティング広告(PPC)のクリック単価の調整業務|上限CPCの変更基準や決め方
リスティング広告をはじめとした運用型広告では、広告の表示機会を獲得できるかどうかをオークション制で決めています。そのためオークションで勝負するための上限CPCの調整は運用型広告の業務において大きな比重を持ちます。
本記事では運用型広告(主にリスティング広告)の上限CPCの調整方法などについて解説しますが、広告出稿の目的や状況によって決め方は異なってくるので一つの考え方として参考にしてください。
また、ここではある程度出稿をしていてデータがあることが前提に説明します。データが全くない場合クリック単価の決め方はページ下部で解説しています。
上限CPCを調整するまでの流れ
上限CPCの調整業務は一般的には以下のような流れで行います。予算消化やCPAの部分は指標が別のものである場合は置き換えてもらっても構いません。
人によってはキャンペーンの日予算に大幅な余裕を持たせている方もいますが、慣れないうちは上限CPC変更に併せてキャンペーンの日予算も変更することをお勧めします。理由としては上限CPCを変更すると想定以上に予算消化が進んでしまう事があるからです。その代わり日予算の上限にあたって表示機会が制限されそうならすぐに上限CPCを変更するようにしてください。
上限CPC変更の判断基準
実際は予算の都合などもあるのでこの通りにはいかないこともありますが、以下のような判断基準で行います。(平均掲載順位は1.5くらいを判断基準にすることが多いですが、当てはまらない場合は変更してください)
ユーザーは掲載順位が上の広告からクリックしていくので掲載順位が高い方がクリック率が高く、獲得できるクリック数も増えます。
上限CPCの調整額を決める
人によってやり方は色々ありますが一番シンプルなのは上記の流れと判断基準のフローチャートを元に上限CPCを変更するかどうかを決めて、一律で〇%変更するといったようにルールに沿って機械的に変更することだと思います。
またこの時、1ページ目と最上位の推定入札単価をそれぞれ下回ると広告の表示機会に大きく影響するので併せてチェックするようにしましょう。
上限CPCを変更した後にすること
変更してから一定時間が経過したら必ず数字の動きをチェックしてください。まったく掲載順位が変動していなかったり、想定以上に予算が消化されてしまっていたらすぐに軌道修正をしましょう。個人的には、朝変更して午後一や夕方に確認しています。
【参考1】目標CPAからCPCを算出する
実際はこの通りにいかないことも多いのですが、時々計算してみて現在の上限CPCと比較して大きな開きがないかチェックしてみると修正が必要なものが発見できたりします。
計算は目標CPAから行います。(実際のCPAの上限として許容できる値を目標CPAとしています)
CPAは以下の式の様に費用をCVの数で割ると算出できます。
CPA=費用÷CV数
また費用とCVは以下の様に分解できます。
費用=クリック数×クリック単価
CV数=クリック数×CVR
先ほどのCPA=費用÷CV数に上記を代入すると以下の式になります
CPA=(クリック数×クリック単価)÷(クリック数×CVR)
クリック数が分母と分子の両方にあるので約分すると以下の式になります。
CPA=クリック単価÷CVR
式の左辺と右辺を整理すると以下の様になり、クリック単価はCPAとCVRから求めることができます
クリック単価=CPA×CVR
つまり、例えば目標CPAが1000円、CVRが20%なら計算上は200円までクリック単価を引き上げることが可能です(CVRが20%ということは5クリックに一度CVするわけなので、目標CPA1000円を5で割ると1クリックにかけられる費用が出ます)。ただし、CVRは可変する指標なので計算通りになるとは限りません。必ず調整後に想定通りの数字が動いているか確認を怠らないようにしましょう。
また、CVが付いていなくてCVRがないものについては費用が目標CPAに達するまでは推奨入札単価やファーストページビットなどにしておいて、目標CPAに達してもCVが付かなければ入札単価を下げてくか配信の停止を検討したりします。
【参考2】CPCが決まる仕組み
実際のCPCは以下の式で決まります
実際のCPC=(1つ下の掲載順位の広告の広告ランク÷自分の広告の品質スコア)+1円
また、上記の式で出てきた広告ランクは以下の式で決まります
広告ランク=(上限CPC×品質スコア)+α(広告表示オプションの設定など)
暗記する必要はありませんが自分の入札単価は一つ下の広告に左右されるくらいは覚えておきましょう。
【参考3】データが全くない場合のCPCの決め方
まったくの新規で出稿する場合は、ある程度想定値で入札することになります。一番良いのは同業種や類似業種のクリック単価が分かるのが良いのですが、分からない場合はGoogleやYahoo!が提供しているアドバイスツールを活用しましょう。例えばGoogleのAdWordsではキーワードプランナーというツールが存在しており、そこで推奨入札単価が分かります。ただし、あくまでも推奨入札単価なので出稿してから必ず調整しましょう。